「夜中に足がつって目が覚めた」「急にお腹が痛くなって動けない」
そんな経験、ありませんか?
これらの症状は筋肉のけいれんが原因で起こることが多く、対処が遅れると日常生活に大きな支障をきたします。
今回は、そんな急なけいれん性の痛みに対して5〜10分で効くとされる漢方薬、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)の使い方や効果を、薬剤師の視点から詳しく解説します。
芍薬甘草湯とは?たった2つの生薬でできた漢方
芍薬甘草湯は、その名前のとおり芍薬と甘草の生薬から構成されています。

芍薬(シャクヤク)は筋肉の痙攣をやわらげる鎮痙作用があり、甘草(カンゾウ)は炎症や痛みを抑える、鎮痛・抗炎症作用があります。
この組み合わせにより、「筋肉のけいれんによる急な痛み」をピンポイントで緩和します。
どれくらいで効き始めるの?
通常の漢方薬は継続して飲むことで効果を発揮しますが、芍薬甘草湯は頓用(必要なときだけの服用)でもしっかり効きます。
漢方と効くと体質改善的な意味合いが強くて即効性に期待できないと思っている方も多いと思いますが、そんなことはありません。
こればっかりは漢方によるとしか言えないですが、風邪症状とか痛みとか急性症状に使用される漢方は他の慢性症状に使用される漢方と比較して即効性があると思います。
あとは体質による差もあると思います。
一説によると腸内細菌の状態、いわゆる腸内環境によって漢方の効き目は差が出ると言われていますので気になる人は普段から腸活をしてみるのもいいかもしれませんね。
どんな時に使う?主な使用シーン5選
芍薬甘草湯は、単なる「こむら返りの薬」ではありません。
さまざまな「けいれん性の痛み」に使える、汎用性の高い薬です。
✅ 使用例
- 夜中のこむら返り(高齢者や妊婦に多い、夏の夜にも頻発)
- 生理痛(下腹部の急な締めつけ)
- 胃けいれん・腸けいれん(突然の腹部痛、胃腸炎で使用されることも)
- 運動中の足のつり(スポーツ選手にも)
- 尿路結石や胆石の発作時の補助薬(けいれん痛に応用されることも)
- 止まらない吃逆(しゃっくり)
💡 ポイント:けいれん=筋肉の異常収縮。その対処にぴったりな薬です。
こう見ると色んな痙攣の症状に使えますよね。しゃっくりにも効くと知ったときは正直驚きました。
最近だと顆粒以外にもゼリータイプやドリンクタイプも販売されています。
山登りする方や、スポーツをする方だと手軽に飲める剤形があるのは嬉しいですよね。
飲み方とタイミング
効果的な飲み方とタイミングが気になる人も多いのではないでしょうか。
- 基本的には頓用(痛いときだけ)でOK
- 錠剤・細粒・エキス剤・ゼリー・ドリンクなどがあり、持ち歩きやすい
- 「つりそうだな」と感じた時点で服用するのがベスト
それ以外にも夜間のこむら返り予防に就寝前に飲むこともあります。
副作用と注意点|甘草による“隠れリスク”に注意
便利な芍薬甘草湯ですが、薬である以上副作用に注意が必要です。
生薬の甘草は偽アルドステロン症という副作用を発現させることがあります。
副作用発現には摂取量や個人差による影響が大きく一概には言えませんが、高齢者に発現しやすいと言われています。
⚠ 主な注意点
- 偽アルドステロン症(甘草のグリチルリチン酸による副作用)
→ 低カリウム血症・むくみ・血圧上昇の原因に - 長期連用は避ける
→ 他の甘草含有薬と重複しないようチェック!
高齢者や、高血圧・腎疾患・利尿薬を使用中の方は医師や薬剤師に相談を。
よくある質問(Q&A)
Q. 毎日飲んでも大丈夫ですか?
A. 基本的には頓用薬として使用します。毎日の連用は副作用リスクを高めるため、可能であれば避けましょう。
Q. 漢方薬でも5分で効くの?
A. 芍薬甘草湯は比較的効果発現が早いと言われる漢方薬です。痛みが出たらすぐ飲むのがおすすめです。
まとめ|“痛みが来る前に飲む”のがコツ!
芍薬甘草湯は、
- けいれん性の痛みに特化した即効薬
- 5〜10分で効果を発揮
- こむら返り以外にも腹痛や筋痙攣に使える
という、まさにレスキュー漢方です。
もし「いつも足がつって困っている」「お腹が急に痛くなることがある」という方は、ぜひ一度この薬を選択肢に加えてみてください。
📌薬剤師からの一言
市販薬としても販売されていますが、症状が頻繁な方や他の薬を服用中の方は、一度医師や薬剤師に相談を。副作用リスクや相互作用を防ぐためにも、正しい使い方を心がけましょう。
参考文献
副作用モニター情報〈204〉 漢方薬による偽アルドステロン症に注意を
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