ファモチジン(ガスター)と心疾患 ― なぜ注意が必要なの?薬剤師が理由を詳しく解説

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「胸やけに効く薬」としておなじみのガスター10(成分:ファモチジン)。薬局で手軽に買える一方で、パッケージや添付文書には
心臓病の診断を受けた人は、使用前に医師または薬剤師に相談してください
と書かれています。

「胃薬なのに、なぜ心臓?」と不思議に思う方も多いのではないでしょうか。この記事では、その理由をわかりやすく解説します。


目次

ファモチジンってどんな薬?

  • H₂ブロッカーと呼ばれるタイプの薬
  • 胃酸の分泌を抑える作用がある
  • 医療用では「胃潰瘍」「逆流性食道炎」など幅広く使われる
  • OTC(市販薬)では「胸やけ・胃もたれの一時的な緩和」が主な用途

添付文書にある「心疾患の方は要相談」について

市販薬(ガスター10)

添付文書には、次のように書かれています。

「心臓病の診断を受けた人は、服用前に医師または薬剤師に相談してください」

引用:ガスター10

医療用(ガスター錠など)

重大な副作用として「QT延長(心電図の異常)」が記載されており、

「特に心疾患(心筋梗塞、弁膜症、心筋症等)を有する患者にあらわれやすいので、投与後の状態に十分注意すること」

引用:医療用医薬品 : ガスター

と注意喚起されています。

なお医療用医薬品のガスターの添付文書上で「QT延長」は頻度不明の記載になっています。


なぜ心疾患に注意が必要なのか?

QT延長とは?

QTとは心電図で測れる「心臓の電気信号のリズム」の一つです。
QT間隔が延びると心臓の拍動のリズムが乱れ、「不整脈」につながる可能性があります。

薬剤師が知っておきたい「心電図」の基本

引用:薬剤師が知っておきたい「心電図」の基本 ●基本の正常波形と心電図の読み方

ファモチジンとQT延長の関係

  • ごくまれにQT延長や不整脈を起こした症例報告がある
  • 特に腎機能が低下している人、電解質異常がある人でリスクが高い

調べた範囲内では明確な機序が特定されているというよりも、症例報告がベースで注意喚起がされている印象でした。
機序の予想としては体内の電解質異常と、抗ヒスタミン作用によるアデニル酸シクラーゼの不活性化と細胞内cAMP減少による心筋収縮力低下などの複合的要因じゃないかなと思います。たぶん。


実際のリスクはどのくらい?

通常の用量で健康な人が服用しても、問題になることはほとんどありません。
しかし、礎に心疾患があるでは、たとえまれでも重い副作用につながる可能性があるため、注意が必要です。
「滅多に起こらないが、起きたら命に関わる」 ため 添付文書に記載されているだと思います。


心疾患がある人が気をつけるポイント

  • 市販薬を自己判断で使わない、使う場合は事前に薬剤師や医師に相談する
  • 胸やけや胃もたれが続く場合は、医師に相談するのが安心
  • 服用中に「動悸・脈の乱れ・めまい」を感じたらすぐ中止して受診
  • 他の不整脈治療薬や利尿薬など、QT延長を起こしやすい薬との併用は要注意

まとめ

ファモチジン(ガスター)は「心疾患のある方」はQT延長による不整脈リスクがわずかにあるため注意が必要です。
症例報告ベースの注意喚起ですが、「重篤化したら命に関わる」ため市販薬にも記載されているのが現状です。
心臓病がある方は、必ず医師・薬剤師に相談してから使用するようにしましょう


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