【医療用語の読み方】医療現場でよく登場する「鼠径部(そけいぶ)」ってどこ?意味・英語表現も解説

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鼠径部(そけいぶ)の読み方と意味

  • 読み方:鼠径部(そけいぶ)
  • 意味足の付け根付近の部位を指す医学用語

普段の会話では「足の付け根」で通じますが、医療現場では診察や記録において正確な位置を表すため「鼠径部」という言葉を使います。

ただ、「鼠(ねずみ)」という字が入るため、初めて聞く人には「ネズミ?なぜ?」と首をかしげられることも少なくありません。見た目や響きの印象とは裏腹に、れっきとした解剖学用語です。


鼠径部の解剖学的な位置と役割

鼠径部は、下腹部と太ももの境界に位置します。解剖学的には、左右に1つずつ存在し、鼠径靱帯・恥骨・腸骨稜で囲まれた範囲を指します。

この部位の内部には

  • 大腿動脈・大腿静脈といった大きな血管
  • 大腿神経や陰部大腿神経などの神経
  • リンパ液の通り道となる鼠径リンパ節

役割としては、下肢と体幹をつなぐ通路であり、血液やリンパ液の輸送神経の伝達などを担います。また、外傷や感染、腫瘍などの病変が現れやすい部位で、医療者にとっては診察時の重要なチェックポイントです。


鼠径部が医療現場でよく登場する場面

鼠径部は見た目以上に医療での登場頻度が高い部位です。たとえば――

  • 鼠径ヘルニア(脱腸)
     腹部の中身が鼠径部の隙間から出てくる病気。小児から高齢者まで幅広く発症します。
  • 鼠径リンパ節腫脹
     足や下半身の感染症、がん転移などで腫れることがあります。
  • 鼠径部痛
     スポーツ障害や股関節疾患でよくみられる症状。特にサッカーやラグビー選手に多いです。
  • 大腿動脈穿刺
     カテーテル治療や検査のために鼠径部から血管にアクセスすることがあります。

鼠径部を英語で言うと?

鼠径部の英語表記は Inguinal region(イングイナル・リージョン) です。
語源はラテン語の inguina(股)で、股関節周辺を意味します。

日本語の「鼠径」という言葉は、男性が生まれる直前に精巣が腹腔から陰嚢へ移動する様子をを鼠の移動する様子になぞらえたという説があります。



鼠径部と似た用語との違い

医療用語では似た部位名が多く混乱しがちです。

  • 股関節:関節そのもの
  • 会陰部:肛門や外陰部周囲
  • 大腿部:太もも全体

鼠径部は「股関節周辺の特定範囲」を指す言葉であり、股関節や太もも全体を意味するわけではありません。


まとめ

鼠径部は、血管・神経・リンパ節が集まる重要なエリアであり、診断や治療の現場で頻繁に登場します。
「鼠径リンパ節が腫れている」という所見は、感染症やがんの早期発見につながる場合もあります。

普段は意識することの少ない部位ですが、もし足の付け根に違和感やしこりを感じたら、早めに医療機関で診てもらうことが大切です。

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