2025年8月、ついに胃薬の代表格であるプロトンポンプ阻害薬(PPI)が市販薬として登場しました。
その第一弾が 「タケプロンS(ランソプラゾール)」 と 「オメプラールS(オメプラゾール)」 です。
数年前からPPIのスイッチOTC化は議論されてきましたが、やっとの販売ですね。
PPIは代謝酵素誘導が厄介だったり、消化器系疾患の症状をマスクしてしまうのでなかなかスイッチ化は難しいと言われていました。
本記事では、両者の違いをわかりやすく整理し、購入を検討する方に必要な情報をまとめます。
プロトンポンプ阻害薬(PPI)とは?
PPIは、胃酸を分泌する「プロトンポンプ」という部分を強力に抑える薬です。
「プロトン」つまりは「H⁺」を出すポンプに栓をしてくれる効果があります。
従来は医師の処方が必要でしたが、厚生労働省の審査を経て要指導医薬品として一般販売が開始されました。
PPIは市販の制酸薬(ガスター10などH2ブロッカー)よりも胃酸抑制力が強く、胸やけ・胃もたれを改善する力が強いのが特徴です。
製品概要
タケプロンS(ランソプラゾール)
- 発売日:2025年8月1日
- 製造販売元:武田薬品工業
- 剤形:口腔内崩壊錠
- 効能・効果:胸やけ、胃の不快感の改善
- 特徴:溶けやすく飲みやすい設計。CYP2C19遺伝子による代謝差の影響が比較的少ないとされる
オメプラールS(オメプラゾール)
- 発売日:2025年8月5日
- 製造販売元:佐藤製薬
- 剤形:カプセル剤
- 効能・効果:胸やけ、胃もたれなどの改善
- 特徴:世界で最初に開発されたPPI。歴史が長く臨床データが豊富
成分と薬理作用の違い
項目 | タケプロンS(ランソプラゾール) | オメプラールS(オメプラゾール) |
---|---|---|
成分分類 | プロトンポンプ阻害薬(PPI) | プロトンポンプ阻害薬(PPI) |
代謝 | CYP2C19の影響が少なめ | CYP2C19の影響を受けやすい |
効果発現 | 服用後2〜3日で安定 | 服用後2〜3日で安定 |
特徴 | 個人差が比較的少ない | 世界的に使用実績が豊富 |
効果と適応症
- 対象となる症状
- 胸やけ
- 胃もたれ
- 酸っぱい液が上がってくる(逆流性食道炎の軽度症状)
- 使用期間
- 最大2週間まで
- 症状が改善しない場合は必ず医師に相談
OTC化されたPPIは、あくまで一時的なセルフケアを目的としています。
繰り返す胸やけや長引く胃の不快感は、胃潰瘍や胃がんなど重大な疾患のサインである可能性もあるため、自己判断での長期服用は避けましょう。
副作用と注意点
- 主な副作用
- 下痢、軟便
- 腹部膨満感
- 味覚異常
- 発疹
- 長期使用でのリスク(処方薬データより)
- 骨折リスク増加
- 低マグネシウム血症
- 腸内感染症
※市販薬としては短期使用が前提ですが、副作用の可能性を理解しておくことが大切です。
販売区分と購入時の流れ
タケプロンS・オメプラールSはいずれも 要指導医薬品 です。
そのため、
- 薬剤師による使用者本人に対して書類を用いた対面販売
- 購入前の症状・既往歴・服薬歴の確認
- 使用方法の説明
が義務付けられています。
薬局で購入する際には、
「他に胃薬を使っているか」
「過去にPPIで副作用が出たことがあるか」
「妊娠・授乳中でないか」
などを確認させていただきます。
特に使用者本人に対しての書類での説明が義務ですので注意してください。
まとめ|どちらを選ぶべき?
結局どっちがいいのという話ですが、個人的には以下の考えです。
- 初めて使う方・代謝による効果差を減らしたい方 → タケプロンS
- 実績重視・世界的に使われてきた薬を試したい方 → オメプラールS
いずれも「2週間までのセルフケア」が前提です。
症状が繰り返す、改善しない、悪化する場合は必ず医師に相談してください。