【薬剤師が解説】ラグノスNF・酸化マグネシウム・モビコールの違いと併用時の腸内pHと排便の変化

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便秘治療でよく使われる
ラグノスNF経口ゼリー(ラクツロース)酸化マグネシウム(MgO)モビコール配合散(PEG4000)

これらは同じ「便秘薬」ですが、働き方(作用機序)や腸内pHへの影響、併用時のメリットには大きな違いがあります。
本記事では、それぞれの特徴と、併用時には何が起きるのかを分かりやすくまとめます。


目次

腸内の通常のpHと、pH変化が排便に与える影響

腸の働きは、部位ごとに異なるpH(酸性・中性・アルカリ性)に強く影響されます。
特に大腸のpHは、排便のしやすさや腸内細菌の構成に直結します。

通常の腸内pHは以下の通りです。
いちおう比較として胃内pHも載せておきます。

  • 胃:pH 1〜3(強酸性)
  • 小腸:pH 6〜7(弱酸性〜中性)
  • 大腸:pH 5.5〜7.0(弱酸性が理想)

大腸が弱酸性に保たれていると、乳酸や酢酸などの短鎖脂肪酸が適度に産生され、
腸の神経叢が刺激されて自然な蠕動運動(ぜんどう運動)が起こりやすくなります

逆に、腸内がアルカリ性に傾くと、腐敗菌が増えやすく、ガス・膨満・便秘の悪化につながる場合があります。

便秘薬によって腸内pHがどの方向に動くかを理解すると、
薬の特徴や併用時のメリットが把握しやすくなります。


ラグノスNF(ラクツロース)の特徴

ラグノスNFは、非吸収性の糖類である「ラクツロース」を主成分とした浸透圧性下剤です。
小腸では吸収されず、大腸へ到達します。

大腸に到達したラクツロースは、腸内細菌により分解されて
乳酸・酢酸などの有機酸を産生します。この有機酸が腸内pHを低下させ、
やや酸性に傾いた環境が自然な蠕動運動を促進します。

主な特徴は以下の通りです。

  • 便に水分を引き込み、柔らかくする
  • 有機酸産生により腸内pHを酸性化
  • 軽度の蠕動促進作用
  • 善玉菌が増えやすく、腸内環境改善にもつながる
  • ガスが出やすい点はデメリット

自然な排便を促すタイプの下剤です。


酸化マグネシウムの特徴

酸化マグネシウムは「無機塩」を利用した非刺激性下剤で、
腸管内に水を引き込むことで便を柔らかくします。

特徴は以下の通りです。

  • 浸透圧作用により水分を引き込み、便を軟化
  • 腸壁が広がることで反射的に蠕動を促す
  • 腸内pHは上昇させる(アルカリ性に傾く
  • 腎機能が低下している場合は高Mg血症に注意

便の硬さが強い便秘には効果的ですが、
腸内pHが上昇するため、腸内環境に影響が出ることがあります。


モビコール配合散(PEG4000)の特徴

モビコールは、ポリエチレングリコール4000(PEG4000)という
水を抱え込む」性質を持つ高分子ポリマーを利用した下剤です。

主な特徴は以下です。

  • 水分を保持して便を適度な硬さにする
  • 刺激性がほぼなく、自然な排便を促す
  • 腸内pHにはほとんど影響しない
  • 電解質が添加されており、体内のNa/K変化が起きにくい

便を柔らかくする効果が期待でき、小児や高齢者でも使いやすい薬剤です。


併用した場合の腸内pHの変化

具体的に併用した場合の研究が見つけられなかったので、一部憶測になってしまう部分がありますが、自分なりの考えをまとめてみました。
良ければ参考にしてみてください。
それと関連研究があったら教えて頂けれると嬉しいです!!

ラグノスNF × 酸化マグネシウム

  • ラグノス:大腸を弱酸性方向へ
  • 酸化マグネシウム:腸内をアルカリ性へ

pHは互いに打ち消し合うため、
腸内は中性〜弱酸性に安定しやすい?と考えられます。
排便効果は十分あり、腸内環境も比較的保たれるのかなと思います。


モビコール × 酸化マグネシウム

  • モビコール:pHへの影響なし
  • 酸化Mg:アルカリ性に寄せる

全体としてはややアルカリ側に傾きやすい組み合わせかと考えます。
ただし便軟化作用は強めであり、硬便タイプの便秘には非常に有効な組み合わせです。


効果の強さはどちらが高い?

ラグノスNF+酸化Mg

  • 穏やか・自然な排便
  • 腸内環境を整えやすい
  • 効果はマイルド?(モビコール+酸化Mgに比べて)
  • 小児や高齢者の便秘向け

モビコール+酸化Mg

  • 強力な便軟化作用
  • 即効性も期待できる?
  • 下痢になりやすい場合がある
  • 頑固な便秘や慢性便秘向け

排便・軟便化効果の強さだけを見るなら、モビコール+酸化Mgがやや優勢かと思います。


整腸剤(ビオフェルミン・ミヤBM)の併用について

腸内pHの方向性は、整腸剤でも変わります。
みなさんご存じの通り、乳酸菌は腸内pHを酸性に近づけてくれます。

  • ビオフェルミン
     乳酸菌が乳酸を産生し、腸内をより酸性に傾ける
     → 蠕動促進効果が期待できる
  • ミヤBM(宮入菌)
     酪酸菌が短鎖脂肪酸を産生し、穏やかな酸性化
     → 腸内環境を整えやすい

モビコール+酸化Mgの組み合わせに整腸剤を加えると、
アルカリ寄りの環境が酸性方向へ適度に補正され、
腸内環境と排便リズムの両方を整えやすくなります。


まとめ

  • 腸内pHは腸の動きと排便に大きく関わる
  • ラグノスNFは酸性化による自然な蠕動促進
  • 酸化Mgはアルカリ化に向けながら便軟化
  • モビコールはpHに影響せず、水分保持で排便を促す
  • 併用時のpH変化は組み合わせで異なる
  • 強い硬便には「モビコール+酸化Mg」
  • 穏やかで自然な排便には「ラグノスNF+酸化Mg」
  • 整腸剤の併用は腸内環境調整に非常に有効

参考文献

Effects of lactulose and other laxatives on ileal and colonic pH as measured by a radiotelemetry device
Low-Dose Lactulose as a Prebiotic for Improved Gut Health and Enhanced Mineral Absorption
Lactulose in cirrhosis: Current understanding of efficacy, mechanism, and practical considerations
Magnesium Oxide in Constipation
A dose determination study of polyethylene glycol 4000 in constipated children: factors influencing the maintenance dose
Tolerance and Efficacy of Polyethylene Glycol 4000 in Elderly Patients with Chronic Constipation: A Retrospective, Single-center, Observational Study
Suppressive effects of lactulose and magnesium oxide supplementation on fecal putrefactive metabolites with shortening gastrointestinal transit time
ラグノス® NF ゼリー
酸化マグネシウム錠 330mg「ヨシダ」
モビコール配合内用剤LD
短鎖脂肪酸の生理活性

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