コンサータが流通規制にかかって苦しんでいる方々は多いのではないでしょうか。
服用している方はもちろん、薬局も苦しんでいます…
代替薬があればと調べて、同成分の「リタリン」の存在を知った方もいると思います。
しかし!適応が違うんですよね~
そこで今回は「コンサータ」と「リタリン」の適応が違う理由について解説していきます。
コンサータとリタリンは成分が同じ、それでも適応が違うのはなぜ?
コンサータ(Concerta)とリタリン(Ritalin)は、どちらもメチルフェニデート塩酸塩という同じ成分から作られた薬です。
しかし…
日本での各適応は
- コンサータ:ADHD
- リタリン:ナルコレプシー
と、まったく異なる適応症が設定されています。
「同じ成分なのに、なぜ?」という疑問は非常に多いため、本記事ではその理由を分かりやすく解説します。
コンサータの作用機序:前頭前野でドパミンとノルアドレナリンを増やす
メチルフェニデートは、脳内で以下の働きをします。
① ドパミンの再取り込み阻害
② ノルアドレナリンの再取り込み阻害
→ シナプス間にこれらの神経伝達物質が増え、注意・集中・ワーキングメモリが改善します。
特にADHDでは、前頭前野のドパミン・ノルアドレナリン活動が低下していると言われており、メチルフェニデートがこの不足を補う形になります。
コンサータがリタリンと決定的に違う点:OROS®という特殊製剤
コンサータは OROS®(オロス) という特殊な徐放技術を使用しています。
OROSは「浸透圧を利用した放出制御システム(Osmotic Controlled-Release Oral Delivery System)」という正式名称です。
コンサータ錠 インタビューフォーム より引用
薬物コーティング+OROS
コンサータの面白いところは薬物コーティングが外膜に施されている点です。
OROS製剤は一定時間薬が安定した速度で放出されるという特徴はありますが、その分即効性には欠けるという特徴があります。
その特徴を改善するためにコンサータの外膜には薬物コーティング層が存在します。
服用した場合まず薬物コーティング層が溶け、その後は内側の徐放層に水分が浸透することで、浸透圧により一定速度の薬物放出が続きます。
血中濃度が滑らかに上昇・維持
- ピークが急激に上がらず、乱用目的の「強い多幸感」を起こしにくい
- ADHD治療に適した安定作用
この「急激に効きすぎない」という点が、後述する依存性リスクとも強く関係します。
こちらの血中濃度のグラフを見てもらうと分かるように、
まず血中濃度が滑らかに上昇し、その後少し下降と上昇した後は安定して維持されています。
最初の立ち上がりが薬物コーティング層の溶解で、その後の動きがOROSの薬物放出ですね。
コンサータ錠 インタビューフォーム より引用
リタリンとの違い:速放型で作用が急激
リタリンは速放型で、内服後30〜60分で血中濃度が急上昇します。
下の図を見てもらうと分かりますが、コンサータ錠と比較してすごい速効性ですよね。
リタリン錠 インタビューフォームより引用
- 効果の立ち上がりが速い
- 1日の服用回数も多い
- 血中濃度の上下が激しい
→ 多幸感・依存のリスクが高まる
→ 過去に大量処方・不正入手・乱用が問題化した
こうした背景から、適応はナルコレプシーに限定して使用されています。
加えて、コンサータもリタリンと同様に、流通管理が必要な薬です。
両薬剤は、医師・薬剤師が専用の講習を受けて登録し、登録医・登録薬局として承認されて初めて取り扱いが可能となります。
処方・調剤の記録もシステム上で管理され、一般の医薬品より厳格な運用が求められています。
なぜコンサータはADHDの適応があるのに、リタリンにはないのか?
理由は以下の3つです。
① リタリン乱用事件(2007年前後)の歴史的背景
過去にリタリンがうつ病や倦怠感など、ADHD以外の疾患に大量に処方され、不正入手・依存が社会問題になりました。
その結果、
- 適応の大幅制限
- 登録医制度(リタリン→ナルコレプシーのみ)
が実施されました。
新宿とかのクリニックが不正に大量処方したりしてたみたいです…
② 製剤特性による依存性リスク
- リタリン:速放型 → 多幸感が出やすく依存リスクが高い
- コンサータ:OROS → 血中濃度が緩やか・乱用困難
製剤設計そのものが、依存性に大きく影響します。
急激な血中濃度の変化が無い分依存形成はされづらいんでしょうね。
③ ADHDのエビデンスの積み上がり
ADHD治療薬としての安全性・有効性は、主にOROS製剤であるコンサータ製剤で蓄積され、臨床試験が行われました。
そのため、国内承認されたのはコンサータ側。
ADHD治療でコンサータが選ばれる理由
- 1日1回で効果が続く
- 血中濃度が安定しやすく、リバウンドが比較的少ない
- 衝動性・注意障害に対するエビデンスが豊富
- 学校・仕事中に服薬の必要がない
などの理由から臨床現場でも第一選択となることが多い薬です。
まとめ
同じ成分でも「製剤」「歴史」「制度」で適応は大きく変わる
- コンサータとリタリンは成分は同じでも、作用速度・依存リスク・過去の乱用事件が大きく異なる
- コンサータはOROS製剤であり、依存リスクが低く、ADHDに最適化された薬
- リタリンは依存問題から適応が厳格化され、ナルコレプシーのみとなった
同一成分であっても、社会背景や製剤設計によって「使える疾患」がまったく変わる典型的な例といえます。
参考
コンサータ錠 インタビューフォーム
リタリン錠 インタビューフォーム
Rebound effects with long-acting amphetamine or methylphenidate stimulant medication preparations among adolescent male drivers with attention-deficit/hyperactivity disorder
A Rare Phenomenon, Recurrent Acute Dystonia after Withdrawal of ‘Methylphenidate-immediate Release Form’: A Pediatric Case with ADHD
[Long-acting methylphenidate. An alternative medical therapy for adult patients with attention deficit hyperactivity disorder]
Stimulant rebound: how common is it and what does it mean?
Rebound effects with long-acting amphetamine or methylphenidate stimulant medication preparations among adolescent male drivers with attention-deficit/hyperactivity disorder



