「診断書に『糜爛』と書かれていて、不安になった」
そんな声を耳にすることがあります。
あと薬剤師の間でも「なんて読むの?」とかってなります。
「糜爛(びらん)」は医療用語でよく使われる言葉ですが、皮膚や粘膜など場所によって少しニュアンスが違います。
今回は 皮膚の糜爛(びらん) に絞って解説します。
目次
糜爛(びらん)の意味
「糜爛」は びらん と読みます。
医学的には「皮膚の表面(表皮)がはがれて、浅くただれている状態」を指します。
ここでよく混同されるのが「潰瘍(かいよう)」です。
- 糜爛(びらん):浅い傷、皮膚の表面だけがただれている
- 潰瘍(かいよう):深い傷、真皮や皮下組織までえぐれている
皮膚の症状でよく見かけるのは「糜爛」です。
逆に「潰瘍」は「胃潰瘍」など消化器系などの粘膜の症状でよく見かけますね。
皮膚の糜爛の特徴
皮膚における糜爛は、転んでできるすり傷や、湿疹をかき壊して赤くただれた状態をイメージすると分かりやすいです。
また、水ぶくれ(水疱)が破れて皮膚の中身がむき出しになった部分も「糜爛」と呼びます。
見た目の特徴としては以下の通りです。
- 赤くただれている
- ジュクジュクして液体(滲出液)が出ている
- 表皮がなくなって、真皮が露出している
ようするに「表皮が失われてその下の組織が見える状態」ということです。
皮膚の糜爛の原因
皮膚に糜爛ができる原因はさまざまです。
- 物理的刺激:転倒によるすり傷、摩擦、掻き壊し
- 湿疹・アトピー性皮膚炎:炎症が強くなり、掻いた結果びらんになる
- 褥瘡(床ずれ):初期に皮膚が赤くただれ、びらん状になる
- 薬疹や感染:薬や細菌・ウイルスで皮膚が壊されてびらん化
また褥瘡(床ずれ)は症状が進行すると潰瘍に至るので初期の症状での対処が重要です。
治療とケアの基本
皮膚の糜爛は放置すると感染を起こしやすいため、早めのケアが重要です。
- 刺激を避ける:擦れや掻き壊しを防ぐ
- 創部を保護する:ワセリンや保護材で乾燥・刺激から守る
- 湿潤環境を保つ:ジュクジュクを完全に乾かさず、治癒を促す
- 感染予防:赤みや膿があれば医師の診察を受け、必要に応じて抗菌薬
また湿潤環境を保つ際には細菌感染を起こすリスクもあるため、特に感染予防が重要です。
軽い糜爛は適切な処置で自然に治りますが、広がったり繰り返す場合は皮膚科の受診がおすすめです。
まとめ
- 「糜爛(びらん)」は皮膚の表面が浅くただれた状態を指す言葉
- 潰瘍との違いは「深さ」
- 擦り傷、水ぶくれ後、湿疹の掻き壊しなどでよく見られる
- 粘膜(胃や食道、子宮口など)の糜爛とは別に考えるのがポイント
難しい医療用語ですが、意味を知っておくと安心につながります。
皮膚の糜爛が繰り返す場合は、アトピー性皮膚炎やその他の疾患の可能性もあるので早めに皮膚科で原因を調べてもらいましょう。
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