はじめに
処方薬として使われている「ポリフル(ポリカルボフィルカルシウム)」と同じ成分を含む市販薬『ギュラック』が2024年08月29日に登場しました。
最近(2025年7月現在)ではポリフルが出荷調整中なのもあり、薬剤師としてこのようなスイッチOTC薬の登場は注目すべき話題です。
おそらく今後相談が増えることが考えられるため、自分の勉強も含め調べてみました!
この記事では、ギュラックの成分や特徴、使い方のポイントを分かりやすく解説します。
ギュラックとは?

ギュラックは、小林製薬(株)が販売する要指導医薬品です。
小林製薬のサイトで調べてもヒットしなかったのですが、勤務している薬局には在庫しているので「あれ?」って思いました。なんで検索しても出てこないんですかね…
噂によるとギュラックはGMP逸脱で製造が…みたいな話も聞いたのでもしかしたら?
2025年7月現在は販売されて間もないため要指導医薬品ですが、そのうち他の分類になると思います。
有効成分は「ポリカルボフィルカルシウム」です。これは医療用医薬品であるポリフルと同じ成分であり、膨張性の下剤に分類されます。
水分を吸収して便のカサを増やしたり、下痢を抑えたりする効果があります。
ポリフルとの違いは?
ポリフルは医師の処方が必要な医療用医薬品です。一方で、ギュラックは薬局やドラッグストアで購入できる市販薬です。
両者は有効成分が共通しており、作用機序にも類似点がありますが、対象年齢や用量・用法、使用目的は異なる点もあります。特に適応は過敏性腸症候群の治療を受けたことがある人に限るため注意が必要です。
効果・効能
過敏性腸症候群の次の諸症状の緩和:腹痛又は腹部不快感を伴い,繰り返し又は交互に現れる下痢及び便秘(以前に医師の診断・治療を受けた人に限る。)
使用上の注意
■してはいけないこと
(守らないと現在の症状が悪化したり,副作用が起こりやすくなる)1.次の人は服用しないこと
(1)医師から過敏性腸症候群の診断・治療を受けたことがない人
(2)過敏性腸症候群の再発かどうかよくわからない人
(例えば,今回の症状は,以前に過敏性腸症候群の診断・治療を受けた時と違う)
そのため、市販薬としてのギュラックを選ぶ場合も、2025年7月現在では薬剤師への相談が必須です。
どんな人が使える?
ギュラックは、適応にもあるように過敏性腸症候群の治療中の方でなかなか受診できない方や、症状が安定していて医師から市販薬の使用を許可されている方が使えます。。
医師の診断と治療を受けた人にしか使用できないため注意が必要です。
使用上の注意点

やっぱり薬ですのでいろいろ使用上の注意の記載があります。
■してはいけないこと
(守らないと現在の症状が悪化したり,副作用が起こりやすくなる)1.次の人は服用しないこと
(1)医師から過敏性腸症候群の診断・治療を受けたことがない人
(2)過敏性腸症候群の再発かどうかよくわからない人
(例えば,今回の症状は,以前に過敏性腸症候群の診断・治療を受けた時と違う)
(3)次の症状がある人
●就寝中などの夜間にも,排便のためにトイレに行きたくなったり,腹痛がある ●発熱がある ●関節痛がある ●粘血便(下血)がある ●繰り返すひどい下痢がある ●急性の激しい下痢がある ●排便によってよくならない腹痛がある ●嘔吐がある ●6ヶ月以内に,3kg以上の予期せぬ体重減少
(4)次の病気にかかったことのある人
大腸がん,炎症性腸疾患(クローン病,潰瘍性大腸炎等)
(5)腹部の開腹手術を受けたことがある人で,次の症状を起こしている人(胃腸閉塞を引き起こす可能性がある)
激しい腹痛,ガス排出(おなら)の停止,腹部膨満感を伴う著しい便秘(胃腸閉塞様症状)
(6)次の治療を受けている人
急性腹部疾患(虫垂炎,腸出血,潰瘍性結腸炎等),高カルシウム血症,腎結石,腎不全(透析中を除く)
(7)本剤又は本剤の成分によりアレルギー症状を起こしたことがある人
(8)嚥下が困難な人(食べ物などが飲み込みにくいと感じている人)
(9)15才未満の小児及び75才以上の高齢者
2.本剤を服用している間は,次の医薬品を服用しないこと
過敏性腸症候群(IBS)の症状改善薬(トリメブチンマレイン酸塩等),活性型ビタミンD製剤(アルファカルシドール等),カルシウム剤(乳酸カルシウム等),強心配糖体(ジゴキシン等),抗生物質(テトラサイクリン,ノルフロキサシン等),プロトンポンプ阻害剤(オメプラゾール等),H2ブロッカー(ファモチジン,ラニチジン等),制酸剤(水酸化アルミニウムゲル,水酸化マグネシウム等)を含有する医薬品
3.長期連用しないこと■相談すること
1.次の人は服用前に医師又は薬剤師に相談すること
(1)医師の治療を受けている人
(2)妊婦又は妊娠していると思われる人
(3)50才以上の人
(4)貧血がある人
(5)薬などによりアレルギー症状を起こしたことがある人
(6)次の診断を受けた人
糖尿病,甲状腺機能障害,副甲状腺機能亢進症
(7)高カルシウム血症のあらわれやすい人(ビタミンD過剰症等)
(8)胃酸の分泌が欠乏又は減少,もしくはそれらの疑いのある人
(9)大腸がん,炎症性腸疾患の家族がいる人
(10)腹痛,便秘がひどい人
(11)透析を受けている人
2.服用後,次の症状があらわれた場合は副作用の可能性があるので,直ちに服用を中止し,この文書を持って医師又は薬剤師に相談すること[関係部位:症状]
皮ふ:発疹,かゆみ
消化器:吐き気・嘔吐,口のかわき,腹部膨満感,下痢,便秘,腹痛,おなかが鳴る
肝臓:全身のだるさ,皮ふや白目が黄色くなる
その他:むくみ,血尿,尿蛋白,頭痛,突然の高熱,さむけ,のどの痛み3.2週間服用しても症状がよくならない場合は服用を中止し,この文書を持って医師又は薬剤師に相談すること
特に医師から過敏性腸症候群の診断・治療を受けたことがない人や、過敏性腸症候群の再発かどうかよくわからない人は使用ができないため注意してください
また、便秘が長期化している場合や市販薬で効果が見られない場合は、自己判断で使い続けるのではなく、医師の診察を受けることをおすすめします。
ギュラックの基本情報

項目 | 内容 |
---|---|
商品名 | ギュラック |
分類 | 要指導医薬品(2025年7月現在) |
有効成分 | ポリカルボフィルカルシウム:1500mg |
効果効能 | 過敏性腸症候群の次の諸症状の緩和:腹痛又は腹部不快感を伴い,繰り返し又は交互に現れる下痢及び便秘(以前に医師の診断・治療を受けた人に限る。) |
形状 | 錠剤 |
用法用量 | 15才以上1回1錠1日3回食後。 コップ1杯の水とともに服用 15才未満及び75才以上は服用しない |
販売元 | 小林製薬(株) |
まとめ
ギュラックは、処方薬であるポリフルと同じ有効成分を含む新しい市販薬です。
市販で手に取れる手軽さがある反面、自己判断で長期間使用したり、症状に合わないまま服用を続けるのは避けるべきです。
便秘の症状や体質に合わせた選択が重要となりますので、気になる方は薬局で薬剤師に相談してみてください。
参考
